皇妃エリザベートの数奇な人生は、数多くの作品に描かれています。
中でも特にミュージカルは、独特の切り口で彼女を表現し、
本国ウィーンをはじめ、日本でも多くのファンを惹きつけています。
脚本はミヒャエル・クンツェ、作曲はシルヴェスター・リーヴァイ
エリザベートのミュージカルで特徴的だといえるのが、
「死」が登場人物として出てくるというところでしょう。
少女のエリザベートは、サーカスの綱渡りの練習をしていて、落下。
生死のふちをさまよった彼女は、夢の中で、若くて美しい、中世的な魅力の青年と出会います。
彼こそが「死」なのでした。
エリザベートは、「死」の魅力に強烈に惹きつけられます。
その後、彼女が絶望したり、苦しんだりすると、「死」は、彼女を誘惑し、
死の世界へ導こうとします。
文学や絵画においては、「死」はよく擬人化されて表現されてきました。
その姿は、黒衣をまとった老人や、骸骨などで、恐ろしい、畏怖の対象でした。
このミュージカルの「死」は、むしろ若く、生命力にあふれた性格としてあらわされています。
従来の「死」とは異なったイメージで描いていること、これは、作品の魅力のひとつといえるでしょう。